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最高裁判所第二小法廷 昭和48年(オ)221号 判決

主文

理由

上告代理人杉野修平の上告理由について。

原判決挙示の証拠関係及びその説示によれば、原審は、上告人が、遅くとも本訴の第一審口頭弁論期日までに、無権代理人である池田有造ないしその相手方である被上告人に対して、原審認定の内容の債務負担の意思表示をした旨判示した趣旨と解することができる。

したがつて、上告人を主債務者とする金五〇万円の貸金請求については、その判示の無権代理行為の追認により、上告人が債務者としての責を負うべきものであり、これと同趣旨の判断をした原判決に所論の違法はない。

しかし、川下ミズエを主債務者とする金五〇万円の貸金請求に関しては、被上告人において、上告人がその連帯保証をした旨主張しているにすぎないこと記録上明らかであるにかかわらず、原判決は、一方において右主債務者の債務は認められないものと認定しながら、上告人が前記のような債務負担の意思を表示したことにより、主債務の効力にかかわりなく、別個独立に金五〇万円の支払の責を負うに至つた旨認定判断していること所論のとおりであり、原判決は、ひつきよう、当事者の主張のない事実により被上告人の右請求を認容したものというべく、右の違法は判決に影響があること明らかであるから、この点の論旨は理由があり、原判決中右請求に関する部分は、この点において破棄を免れない。

よつて、原判決中、上告人を主債務者とする貸金請求に関する部分の上告を棄却するが、上告人を主債務者川下ミズエの債務についての連帯保証人とする貸金請求に関する部分を破棄して、これを原審に差し戻す

(裁判長裁判官 岡原昌男 裁判官 小川信雄 裁判官 大塚喜一郎 裁判官 吉田 豊)

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